コロナとマスコミ

マスコミが世論を先導する社会でいいのだろうか

クロ現 もみ手で北欧の威光を借りに行く

SNS攻撃をしたのと同じ1月4日の番組内で男女平等社会の実現についてアイスランド首相へのインタビューも行われていた。アイスランドは男女平等が進んでいるとのこと。

インタビュアーのNHKアナウンサーがニコニコしながら「日本はこんなに男女平等が遅れているんです」「日本はどうすればいいんでしょうか。教えてください。」とやっていた。

首相は無難な一般論を語るだけで日本への具体的な助言はしなかった。日本の現状を研究しているわけもあるまいし答えようもなかっただろう。

 

このインタビューを見て私は不快な気分になった。男女平等に反対しているわけではない。日本が貶められて悔しかったわけでもない。インタビュアーや番組制作陣の無邪気なはしゃぎっぷりが伝わってきたからだ。

外国の首脳が日本のローカルな社会問題を解決してくれるはずもないのに、なぜ彼らはわざわざ身内の恥(と彼らが認識していること)をさらしに行くのだろう。

自国の現状を「こんなに遅れてるんですよ」と紹介し「それに比べておたくはすばらしいですね」「遅れた日本に教えを授けて下さい」と続ける。

まるで都会の奉公先で郷里の親族を出しに主人のご機嫌取りをする憐れな使用人のようだ。

「ねえ旦那様、田舎者はだめですよ。あいつらジェンダアなんて聞いたことすらないんだから。いまだに家事は女にやらせろですからね。それにひきかえ旦那様の所は男も女も関係ねえってぇさすがだ。あいつらにも教えてやってほしいですよ。今度ガツンと言ってやってもらえませんかね。ねえ旦那様。」

もみ手で主人にすり寄る使用人の姿が目に浮かぶ。

忙しい主人としては使用人の話なんて笑って聞き流すだけだから、この後どう転んだって結局はどうってことない話だ。しかし出しに使われた郷里の親族からすると気分が悪い。同じ田舎者のくせに自分だけ高い所に立った気で我々身内をこき下ろす。ついこの間まで同じ場所で一緒に飯を食っていたというのに。しかも、それでいて我々より稼ぎがいいとくるから余計に腹が立つ。ま、ひがむのはやめよう。

私が引っかかるのは、

いまだに男女を赤白に色分けしたカラオケ大会を毎年開催している組織が、なぜしたり顔でジェンダーレス社会云々を我々に説くのか、とか、

アナウンサーに美人ばかり採用して毎日違う服で着飾らせて画面に登場させ続けている組織が、なぜ素知らぬ顔で「社会の女性に対する偏見」や「ジェンダーロール」について語るのか、

ということ。(アナウンス力と顔面偏差値は関係ないだろう。視聴者が望むから? じゃあポルノでも放送すればいい。)

自分達の社会に対する強大な影響力を理解しているのなら、我々に説教する前にやるべきことがあるはずだ。

 

「日本は遅れている」と他国の首脳に告げ口している暇があるなら、まず自分達の組織を改革すべきである。社会の先頭を走るオピニオンリーダーとして皆に見本を見せるチャンスなのだ。それを華々しく成し遂げてから「ジェンダーレス社会はこうやって実現するんだ!」と宣言してくれたらどれだけ胸がすくだろう。その頃にはもう北欧様を前に「ダメな日本をどう改革すればいいんですかあ」なんて泣き言言ってる憐れな使用人の姿はないはずだ。

外国要人をもてなすディナーパーティーの具材として田舎の親族を鍋に放り込むのはもうやめよう。どうしてもやりたいなら一緒に鍋に飛び込もう。これは何も今回のクロ現だけに通じる話ではない。ダメな日本を肴にした酒宴は今も各地で催されていて、今日もまたどこかで田舎の親族を出汁にした熱々の鍋料理が碧眼のマレビト達に振舞われているのである。