コロナとマスコミ

マスコミが世論を先導する社会でいいのだろうか

中東問題で日本人が憎悪の連鎖と言う軽薄さ

「報復しても憎しみの連鎖が続いてしまうから武力行使は間違っている」

テロが起こるとよく聞く言葉だ。イスラエルパレスチナの紛争を扱うニュースでも耳にする。

本当だろうか?

市街地を焼き払われ、原爆を連続投下され、市民を大量虐殺された日本人が真面目な顔で「憎しみの連鎖が」と言う。政治ではアメリカに追従し、文化でもアメリカを憧憬し、子供には英語を習わせ、原爆の日にはアメリカではなく日本政府を糾弾する。

そういう国の民が「憎悪の連鎖」と真顔で言うのだ。

中東の当事者達は苦笑いするだろう。

我々が彼らに見せている現実は「暴力による報復が憎悪の連鎖を生む」ではなく「敵も完膚なきまでに叩きのめせば良き下僕になる」といった所だ。

イスラエルが核攻撃に言及するのもアメリカと日本の関係が頭にあるからなのかもしれない。

原爆投下を虐殺だと声も上げずアメリカに服従している日本人が、中東問題に対して第三者の立場から「憎悪の連鎖」などと口にするのは軽薄だ。イスラエルの強硬姿勢は日米関係を手本にしている可能性だって考えられるのだ。原爆投下でおとなしくなった国もある、だから我々も、と。

日本がアメリカを憎まないのを悪いと言いたいわけではない。思考する事なく決まり文句を繰り返すだけの言論業界知識人にうんざりしただけだ。

アラブに連帯したいのならお洒落な都心のスタジオで念仏を唱えるのではなく、体を張って憎悪の連鎖の見本ーアメリカへの抗議活動ーでも見せてくればいい。

ファクトチェックの限界

ハマスイスラエルの争いで、当初イスラエル軍が病院を爆撃したというニュースがあった。その後、イスラエルの反論などによる事実確認が進み、武装組織によるイスラエル攻撃の誤爆だった、という結論に至ったようである。

事実の確認を待たずに報道した結果、フェイクニュースになってしまったわけである。事実はなかなか確認できないものであるから、一刻を争う報道の世界では時に誤報を出してしまう事もあるだろう。

報道する前に日本ファクトチェックセンターのような中立組織に確認してもらえれば良かったが、彼らは新聞やテレビニュースはチェック対象にしないと宣言しているから(ガイドライン19条1-4)こういう場合は頼りにできない。

どうすれば良かったのだろうか。重大なニュースだから新聞やテレビは報道しないわけにもいかなかったはず。「ハマス勢力圏からの発表によると~」という断り書きを入れて伝えればまだ良かったかもしれない。

いずれにせよ、真偽の確認とは簡単にはいかないものである。

だから私は伝えたい。SNS叩きが加速している昨今、真偽確認の難しさを日々感じているはずの方々に伝えたい。

市民のSNSをあまりいじめないでほしい。力ある大メディアでさえ誤った情報を流してしまう(そして影響が甚大な割に罰もない)のだから、一市民に「事実確認できない情報を発信するな!」と怒らないでほしい。「ファクトチェックするぞ!」と市民を脅さないでほしい。

組織に握り潰される事を恐れた内部告発者が不特定多数の人に知らせたようと匿名でネットに書き込んだ未公開の情報を「ファクトチェックできないから怪しい情報」と片付けてしまって良いのだろうか。告発しようとしている人に「怪情報をSNSで発信したらまずいよな・・・」と思い留まらせてしまって良いのだろうか。

以前はネット掲示板等に自称飲食店従業員が「○○でポテトのフライヤーにゴキブリが飛び込んだ」とか「焼きそばの製麺機にゴキブリが飛び込んで生地に練り込まれた」と証拠もなしに書き込む事がよくあったが、今はああいうのを書き込もうとする人は大分減っただろう。自由に書いて責任も取らずに済む状況はデマを増やすだろうが、ああいう気軽な内部告発も生み出すはず。個人の情報発信に高い倫理観や情報の確度を求める昨今の流れを私は好まない。

新聞社やテレビ局に所属していた人間が、何の後ろ盾もない個人にファクトチェックを迫る様は言論弾圧する権力者の姿に重なって怖いから是非ともやめてほしい。

factcheckcenter.jp

書類送検と書類送付

一昨日だったか、夜のNHKニュースで市川猿之助の事件を取り上げた際に男性アナウンサーが「人気と実力を兼ね備えた歌舞伎俳優の・・・」と枕詞を付けて紹介していて笑ってしまった。

www3.nhk.or.jp

なぜそこでヨイショするのか。ファンなのか。殺人の可能性も十分に考えられる事件の容疑者にしては扱いが緩かった。

このニュースを見て、過去にジャニーズタレントが警察沙汰になった時、報道の文面が「容疑者」ではなく「メンバー」になったり「書類送検」が「書類送付」になった件を思い出した。

ima.goo.ne.jp

www.news-postseven.com

「書類送付」の特例はジャニーズだけではなく言論業界の知識人にも適用された。

www.tokyo-np.co.jp

この東京新聞の記事では

報道機関も警察が検察庁に書類を送る際にどのような意見を付けたかによって、言葉を使い分けて報道しているケースが多い。取材結果に基づき、警察が起訴を求めているようなケースでは「書類送検」、逆に警察が起訴を求めていない時は「書類送付」とする書き方だ。書類送付には、警察としては嫌疑の疑いは薄いとみており、法的手続きとして書類を検察庁に送ったとする意味合いが込められている。

と、普段から両者を真っ当に使い分けていると主張しているが、以前私が図書館で朝日新聞のデータベースを検索した時は「書類送検」が使用されている記事は山ほど見つかったものの「書類送付」が使用されている記事はほとんど見つからなかった。

一つ上のニュースポストセブンの記事にも、

確認した限りでは、過去に大メディアが「書類送付」を用いた被疑者は、「毎日新聞社長による名誉毀損容疑」「サッポロビール社長の傷害容疑」「氷川きよしによる暴行容疑」「叶姉妹実妹の横領容疑」くらいのもの。

との記述がある。

東京新聞は違うのかもしれないし、「書類送付は嫌疑が薄い場合だから記事も少ないに決まってんだろ」という言い訳もできるかもしれない。

私は、単に身内に甘いだけと思っている。

市川猿之助の件も。彼は過去に出演したドラマがたくさんあるから、罪人の出演作はお蔵入りさせるという謎めいた風習を持つこの業界の人々からすると、できるだけ軽い罪で終わってほしいし、彼が社会に許される事を願うだろう。同情的な報道の裏にそんな思惑も見え隠れする。

陰謀論だろうか?報道がテレビ局のそんな思惑に左右されるわけがない。

しかし私達はそういった思惑にジャーナリズムが屈した姿をジャニーズ問題で目の当たりにしたばかりだ。

教員不足報道の怪

過酷な労働環境で教員のなり手がいない、という報道をしょっちゅう聞く。

一時期、その手の記事のコメント欄にも「テストの〇×つけるのが大変です。家に持ち帰ってやってます」などと書き込む教員がたくさんいた。本人的には残業代も出ない大変な仕事をしていて同情がほしいのだろうが「テストの採点が大変」と社会に訴える姿を見て「教員の世界は平和なんだな」と感じた。部活の顧問がサービス残業で不満という主張も、自分が生徒だった頃の準備室で本を読んでいるだけの顧問を思い出して白けた気分になる。彼らの言う長時間労働はきっとあれではないのだろうけど。違うよね?

教員の給料はいくら?平均年収や諸手当、昇給のポイントを紹介 - スタンバイplus+ (プラス)|仕事探しに新たな視点と選択肢をプラスする

平均年収700万は民間平均450万と比べて殊更悪いとも思えない。むしろ良いだろう。これなら成り手がいないはずはないと思う。そう思って採用試験の倍率を見るとやはり応募者は多い。

【2022年最新】教員採用試験の倍率(難易度)や日程・内容について詳しく解説!|資格の学校TAC[タック]

『令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント(文部科学省資料)』

https://www.mext.go.jp/content/20220909-mxt_kyoikujinzai01-000024926-5.pdf

小学校は2倍程度の所が多いが、中高は人気で5倍以上が当たり前の状況だ。時間外労働の部活顧問が嫌がられているという話はどこへやら。成り手がいないなどと言うから1倍割れしてるのかと思いきや全然そんな事はない。

教員不足とは一体何の事なのだろう。

調べてみると、今後は少子化で子供が少なくなり将来的に教員数も減らす必要があるから、終身雇用になる正規教員の採用を現時点で絞っているそうだ。毎年一定数の教員が定年退職していくわけだから採用を絞れば当然少なくなる。

少子化は今に始まった事ではなく既に子供の数は十年、二十年前より少ない現状だから教員数が減るのは正しいように見える。しかし教員は科目ごとに必要だから、単純に生徒数が100人から10人に減ったからと言って、同じ割合の人員を削減できるわけではない。「生徒10人しかいないから体育教師はいらない」とはならない。人口が減少した地域の学校の統廃合で解決していく問題だろうが、それが進むまでは終身雇用ではない臨時教員を採用して対応していくしかない。しかし収入が不安定な臨時教員は正規教員ほど人気がない。だから慢性的に教員不足に陥っている学校もある。

私が調べた限りではこんな話だ。

教員の待遇が悪くて成り手がいないから不足する、という話ではない。

国の長期的な政策として教員を減らしている。だから不足する。足りない場所は非正規雇用で補っている。その非正規職に人が集まりにくい、という話だ。

教職が本当に忌避されているのなら採用試験に人が集まらない。

採用の倍率を見る限り正規の教職は今もなお、それなりに人気のある職業だ。

教員不足の報道を聞いているだけだと、教員のサービス残業をなくしたり給与を上げたりしなければならないと思ってしまうだろう。別にそれ自体悪い事ではないが、正規教員の給与を上げたり残業代を出したりしても教員不足解消に繋がらない。正規教員は今もなお人気職だから。

改善する必要があるとすれば非正規教員の待遇だろう。

しかし非正規雇用の待遇改善はあまり話題にならないから不思議だ。

 

この前NHK日曜討論を見ていたら、経済対策の回だというのに連合総研の人が唐突に教員の待遇改善の話を始めた。違和感を覚えたが連合の人だから仕方ないのかなと思った。

この問題は議論が表層的なまま、ひたすら教員の給与アップの方向にばく進していて危ういと思う。報道するのなら、待遇改善を求める当事者の声を取り上げるばかりでなく「採用試験倍率高いのにどうして教員不足になるの?」という当たり前の疑問が解消する程度までは掘り下げてほしい。

ホラン千秋とインボイス制度

Nスタでキャスターをしているタレントのホラン千秋さんがインボイス制度対応を売りにした会計ソフトを販売する会社のCMに出ている。

www.youtube.com

ニュースキャスターが一般企業のCMに出ているという時点で驚くが、麗しい笑顔で「準備できていますかインボイス制度」と語るから、これジャーナリズム業界的にはどうなんだろうと更に気になった。

インボイス制度対応を売りにしたソフトを販売する会社からお金を貰っている人が、今起きているインボイス制度反対運動のニュースを的確に伝えられるのだろうか。

「ホランはインボイス制度推進勢力から金を貰っているんだから、ニュースの内容やコメントも当然そっち寄りになるよね」と番組の報道姿勢に猜疑の目が向けられる恐れもあるだろう。

その手の疑いを招かないように報道に携わる者は企業CMなんぞ出ない、そういう内部規定があるものだと私は思い込んでいた。ないのだろうか?

彼女はタレントであってジャーナリストではないから許される、という解釈はあるかもしれない。しかしそうすると今度は、タレントが報道番組でメイン張ってていいの?ジャーナリズムって何?スポンサーから金貰ってスポンサーに有利な情報を世間に流す仕事?といった疑念が生じる。

公平性とか公共性とか正義とか倫理とか報道の意義とか打ち出さずに「我々は生活の為、飯を食う為の仕事として報道をやっている」と宣言してくれれば、そういう風に見るから全く何の問題もないのだけど、公平、公正を標榜するからにはその辺もっと厳格に縛らないとダメだろうと思う。

私個人としては彼らに「もうそろそろ公平性は諦めたら?」と伝えたい。

グレーなサプリのCM

先日ジャニーズ問題でサントリー社長の新浪氏がタレント起用の見送りに言及していた。それは結構なんだが正義を語るついでに、テレビを見る度に目にするあの怪しいサプリCMも何とかしてほしい。

老婦人が買い物してお釣りを受け取った後、買った品物を忘れて店を出そうになる寸劇が披露され、そこに登場したサントリーの研究員が「それは脳の衰えの兆し」と怪しい語り口でDHAサプリを勧めるあれ。

痴呆の前段階みたいな症状を提示した後に「脳にとって大切な成分」の入ったサプリを勧めたら「あ、これボケに効くのね」とか「ボケ防止の為に飲もう」と誤解する人が続出するに決まっているだろう。

画面をよく見ると、

『本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません

とか

研究者個人の見解であり効用ではありません

と極小文字で書いてある。こういう言い訳めいた文章を載せるのは、本当はやっちゃけいけない事と理解しながらミスリードCMを打ってると自白しているようなもので、社会的信用度の高い大企業がやる事とはとても思えない。

一か月6,480円と、庶民が「騙されてもいいや」で定期購入できる価格帯の商品でもない。

別に悪い商品ではないし目くじら立てて糾弾するほどの悪事でもないと思うが、公共性を謳うテレビには相応しくないグレーなCMだと思う。公共性を謳わないテレビなら全然構わない。

サントリーだけではなく、他にも膝に効くコンドロイチンなどグレーなサプリCMが多くあり、日本の高齢者のお金が無駄な所にたくさん流れているのではないかと心配になる。

元NHK理事の顧問就任はジャニーズ起用の対価?

ジャニーズ問題について、焦点が「企業が自社の広告にジャニーズタレントを使い続けるかどうか」に移ってマスコミ内の関係者は胸を撫で下ろしている事だろう。しかし、本来ジャニーズタレントは被害者なのだから、彼らの今後の起用の是非が話題の中心になるのは実に珍妙な事である。今日のサンデーモーニングでもジャニーズ問題が何故かウィシュマさんやLGBT、女性活躍の件に結び付けられ「これは人権意識の低い日本社会全体の問題だ」と他人事のように語られていた。問題の本質から必死に焦点をずらそうとするテレビ業界の悪あがきが目に付く。

前回書いたようにこの問題は異常な個人が独力で起こしたものではなく、その個人が巨大な力を持つマスメディアと結託して引き起こした業界全体の腐敗である。だからジャニーズ事務所一つを叩き潰した所で何の解決にも至らないし、社会全体の問題だと言って我々に改善を求められても手の施しようがない。業界の風通しを良くしなければ今後もアイドルの性搾取等、同様の問題が起こり続けるだろう。

ジャニー喜多川氏の意のままにタレントをテレビ出演させ、彼に強権を与え続けてきた当事者が、その事実を認めず「これは日本社会全体の問題」などと言って我々に責任転嫁する異常な状況を改善しなければならない。繰り返しになるが「テレビに出してやるから〇〇しろ」はテレビ局側の協力がないと実現しないのだ。

さて、前置きが長くなったが、業界の癒着を示す分かりやすい事例が見つかったので一つ紹介したい。

NHKドラマ制作の現場でプロデューサー等の要職を歴任し、2018年札幌放送局長時代にはオウム後継団体アレフへの住民インタビュー漏洩事件誤送信問題で譴責処分され、

2020年ついにNHK理事にまで上り詰めた若泉久朗氏だ。参考までにNHK理事の年間報酬額は22,060,000円。

https://www.nhk.or.jp/pr/keiei/kyuyo/pdf/kijyun-top.pdf

若泉氏はNHK理事を退任後、ジャニーズ事務所の顧問に就任した。

NHKのドラマ制作のトップがジャニーズ事務所の顧問になった。

こんなに分かりやすく癒着が疑われる例もなかなかないのではなかろうか。

若泉氏が制作統括として関わった2003年の朝ドラ「てるてる家族」ではジャニーズの錦戸亮が抜擢されている。ドラマの制作統括は一般的には配役の権限を有しているとされる現場のトップである。ただNHKは俳優選考の過程を公開していないから実際に彼が起用を決めたのかどうかは不明である。

しかしいずれにしろテレビ局のドラマ制作の現場にいた、俳優を”選ぶ側”の最高責任者が”選ばれる側”のジャニーズ事務所から仕事を斡旋してもらうのはまずいだろう。

 

NHKはジャニーズを優遇しすぎていると私は感じていた。ドラマで主役に据えたり、紅白の司会をやらせてみたり、解散をニュース速報で流したり。

あのピロンピロンという警報音と共に画面上部に現れるニュース速報に「嵐解散」のテロップが表示された時は本当に開いた口が塞がらなかった。それはニュースなのだろうか、しかも解散は2年後という速報する意味ゼロの情報だ。

ニュース速報は大雨洪水警報とか、そういう切迫度の高い情報を流す場所だろう。こんな無意味な情報を流していたら、本当に重要な場面で注目されなくなってしまう。何故これを速報しようと思ったのか理解できなかった。

それもこれも全部、この若泉氏のように見返りがあるからやった事なんだ、と今回彼の存在を知って得心した。

きっと”選ぶ側”の人々は若泉氏のように仕事を斡旋してもらうだけでなく、普段から贈り物や接待、色々な忖度や接待、あるいは接待、また愉悦に満ちた接待、等様々な特典を”選ばれる側”から受け取っているのだろう。私の疑念は膨らむばかりだ。

誹謗中傷だとNHKは怒るだろうか。ならばNHKは説明しなければならない。

何故歌の上手くない歌手を歌番組に出すのか、何故喋りが達者でないタレントに看板番組の司会をやらせるのか(山ほどいる自社アナを使えば)、何故切迫度の低い芸能人の引退情報をニュース速報で流すのか、何故性加害問題を知りながらジャニーズを起用し続けたのか。

スポンサーからの金に依存する民放と違ってNHKには「人気タレントだから視聴率の為に起用したかった」という言い訳は許されない。受信料収入は法律で守られているからだ。我々に「NHKは見ないから受信料を払わない」という選択は許されていない。彼らが金の心配をせずに番組制作できるよう我々の金が税金のように徴収されている。

NHKには正義や倫理観、番組の質を犠牲にしてまで特定のタレントを起用しなければならない理由はないのだ。

NHKには納得できる説明をして私の懸念を払拭してもらいたい。

 

余談だが、若泉氏は元々は映画を作りたかったそうで、本当は映画会社に入りたかったらしい。当時映画会社は不況で募集がなく「ピンク映画の監督になる」と言ったら父親に殴り飛ばされたそうだ。多分基本的には愉快な人で、付き合いの良さから色々な仕事の話が来るのだと思う。ジャニーズ顧問も金の為というよりは長年の付き合いという側面が強いと推測する。さすがにあれだけ稼いだら金はもういらんだろ。

テレビ業界で上に行ける人なんてのは基本的にはみんな如才なくて楽しい人達ばかりだと思う。私の周りでこの業界に行ったのもクラスの人気者みたいなのが多かった。そうでないと渡り歩けない世界だというのも想像に難くない。

恐ろしいのは、そういう気の良い人達がたとえ無意識的だとしても性加害に加担する構図になっていたこの業界の常識、外部から是正される機会がなかった閉鎖性だ。そしてこれだけの事態になっても未だにこの腐った箱から、自分達が犯した過ちから目を逸らして我々に責任を押し付けようとする醜い声が聞こえてくる現実が輪を掛けて恐ろしい。