共同通信が値上げ賃上げ記事でミスリード
共同通信が企業に商品値上げと賃上げに関するアンケートを行ったというこの記事。
値上げについては『23%が値上げを検討していると答えた。約半数は未定とし、値上げの可能性を否定しなかった。』と記述しているのに対し、賃上げの方は『一方、物価高を考慮した賃上げに前向きな企業は一部で、家計の負担感が増しそうだ。』と数字を出さない書き方をしている。
一部っていったい何パーセントなんだと図を見てみたら「賃上げする」が6%で「前向きに検討」が18%。つまり24%が賃上げ検討しているわけでそれって、値上げ検討している企業とほぼ同数じゃないか!
賃上げ前向き企業を一部と表現するなら値上げ前向き企業も一部じゃないの?
そして『値上げの可能性を否定しなかった企業が約半数』と言うなら賃上げの可能性を否定しなかった企業は『分からない30%』『非公表33%』を足した63%で半数以上になるのでは?
ていうか一方の数字を本文中に出したならもう一方も本文中に出して比較できるようにしないとまずいだろう。この記事は値上げの結果は文章で記述され、賃上げの結果は円グラフで表示しているから厳密に比較できない。しかも文章で記述された値上げの方はアンケートの細部が不明ときている。要するに調査結果を適切に公表していない。単純に円グラフを二つ並べれば良かっただけなのだ。
学術論文でこんな書き方したら笑われる。普段「科学に基け」と言ってるジャーナリストがこれだからどうしようもない。「科学の時代」なのだから大学に行って科学論文一本すら書かずに卒業して知識階級になれてしまう現状は変えないといけない。
おそらく彼らは「値上げ予定企業はたくさんあるが、賃上げは少ない」という結果が欲しくてこのアンケートを実施したのだろう。しかしその意向に沿った結果が出てこなかったからこうやって一部データを隠蔽して記事にしたのだろう。二つ円グラフを並べてしまうと期待に反して差が出ないから言葉を並べて巧みに印象操作したわけだ。
ジャーナリストがこういうミスリードを平然と仕掛けてくるからほんとうに怖い。