コロナとマスコミ

マスコミが世論を先導する社会でいいのだろうか

抗体検査結果の報道

ワイドショーでテレビ局員が自ら「それでいい」と言ったように、コロナ報道は人々の不安を煽る方向に重み付けされている。日々感染者数が伝えられ「感染拡大が止まらない」「感染者数が高止まりしている」と危機を煽るが、その数が多いのか少ないのか私には分からない。判断基準次第だろう。当初から言われているように日本の感染者数は欧米に比べれば遥かに少ない。少し前にイスラエルがワクチン接種の進展で新規感染者が劇的に減ってきたとやっていたが、数字を見てみるとその数は大騒動の東京とあまり変わらない割合だった。

 

報道を聞いているとこの一年ずうっと感染拡大しているかのように感じられる。しかし今年2月だか3月だかに行われた抗体検査の結果は東京都民で1%程度だった。どうりで身近に感染者がいないわけである。ところがこの結果を伝えたテレビニュースがひどかった。アナウンサーが都民の抗体保有率を読み上げた後「まだ集団免疫の獲得には程遠い状況です」と繋げたのだ。これには驚いた。我々はいつ集団免疫を目指したのだろう。そのセリフはスウェーデンのような政策を取った国で言うべきである。

 

検査結果からは自分達が煽っていたほどひどい感染状況ではないことが明らかになったが、大したことないという情報はできるだけ伝えたくなくてこういう解釈に持っていったのだろう。この原稿を書いた人は本当にこれでいいと思ったのだろうか。報道する者として逡巡しなかったのだろうか。疑問に思う。テレ東の経済ニュース解説員だけはちゃんと「そこまで感染が広がっていなかったということですね」と自然な解釈を述べていた。