コロナとマスコミ

マスコミが世論を先導する社会でいいのだろうか

新型コロナと脱毛 後遺症報道のあやうさ

数カ月前の話だが、NHKの9時のニュースで脱毛の後遺症を大きく扱っていた。民放でも同様に扱われていた。この段階でコロナの後遺症と銘打って報道するのはえらく大胆だなと思った。

 

コロナ感染後に脱毛を訴える人が続出したとして、それがコロナ感染による後遺症なのか、他の要因によるのか(例えば単に壮年性脱毛の開始時期と一致しただけなど)簡単には判断できないはずだ。たくさん症例を集めて詳細な分析を重ね、複数ある脱毛要因の影響を排除できて初めて後遺症と言える。

ニュースではそういった可能性について言及することもなく脱毛症状を後遺症の疑いと伝えていた。「疑い」と付けて断定してないから問題ない、では済まない。社会的に高い信頼を持つNHKのアナウンサーが「コロナの後遺症で脱毛」と読み上げれば大抵の人は細部を疑うことなく素直に信じるからだ。あくまで可能性に過ぎないことを強調すべきだった。

 

ちなみに壮年性脱毛症を発症する体質と新型コロナへの罹患しやすさに関連が見られるというデータは出ているようだ。

pubmed.ncbi.nlm.nih.govこれが確かなら新型コロナ感染者に脱毛を訴える人が多いことに不思議はない。

コロナに感染した結果として毛が抜けるのではなく、壮年性脱毛症になる体質の人がコロナにかかるというわけだ。

 

ジャーナリストは人々の信頼に付け入ることなく誠実な報道をしてほしい。多分それは難しいことなのだろうから(徳に訴えるというのは個人的にも好きじゃない)義務教育にメディアリテラシーの授業を週4くらいで組み込んでほしい。今ならネットをスケープゴートにする(ネットはフェイクだらけとか)ことで高いハードルも越えられるだろう。